大物猟の醍醐味
解禁にそこそこの猪を2頭、二日目に1頭と出足好調だった猟隊も、土日ごとの出猟なれど12月10日までは、コンボーは獲れてもタツにかかった猪に矢を掛けるも外すというパターンを2回繰り返し12月16日をむかえました。この日の話をする前に、お世話になっている猟隊の概要をお話致します。この隊の会長は、大物猟では大変有名な方で私も23年間御指導頂いてる方です。隊の要である親方も猪猟専門に犬の繁殖、勢子、山の見切り等こと猪猟に対する知識、情熱は大変で自分らの手本となる人です。
勢子長は隊随一の恐持てで、山に居る大猪もビビル山男ですが、竹を割ったような性格で隊員達の良き兄貴分です。又この隊の自慢は、都会ではなかなか飼育が難しい大物犬を勢子の方が大変苦労されて立派な猪犬にされていることです。自分らが非常に勉強になるのは、先輩方と一緒にチームを組み、見切りを教えて頂けることです。ただたんにタツに立って、来た猪を撃つのではなく、山を知る、猪猟を知る意味で大変重要なことだと思います。皆さんに実名をお知らせ出来ないのは、隊のほうにH.Pに乗せる了解をとってないのでそのてん宜しく御願い申し上げます。本題に戻ります、この隊に上野から参加しているのは、都合で日によって違いますが7名で、皆さん頑張って山をのぼりおりしています。この日は、上野からK.S、M.H両氏とK.Sの3名、同乗の車の中では、体調が悪いS氏に配慮してか何時もより静かな道中でした。実を言いますと11月18日から参加した私たちは猪の肉をお土産に持ち帰っておらず、少々肩身の狭い思いをしておりました(T^T)。
今日は是非隊の皆さんが喜んでくれる大物をと、自然に体に沸いてくる物を感じたのは自分だけではないと思います。親方の指示で見切りのコースが決まり、各自見切りに出発、やがて情報が入り始まり、山の頂上で作戦会議、犬を掛ける山が決まりタツが決まる、全員配置に着き勢子が犬を掛ける。
暫くして3頭の犬が香りなきから起こしなき、ガンガン猪を追う、そして銃声!残念ながらコンボーを外してタツの外、犬はコンボーを追って、これまたタツの外。犬の声が小さくなり聞こえなくなって暫くして無線から勢子長の声が、残しておいた2頭の犬で同じ山をいま一度掛けるとの事。勢子長の犬を放したとの無線、勢子る勢子長の声、間をおかずビーグルと日本犬の起こしなき、起きた処も自分のタツに近いところなので、今来るかと思いきや、向こうの背でライフルの銃声2発、聞き慣れた声が無線から「止まりました」冷静の中にも嬉しそうなKちゃん(S氏)の声、会長はじめ隊員からのおめでとうの声が掛り盛り上がっているところに銃声、中に入っていた勢子が別の猪に矢を掛け、この猪がこともあろうかKちゃんのタツに掛りKちゃんのいただきとなり目出度し目出度し。
この猪、両方共オスで23貫22貫の大物、地元の人も同じタツで大物の猪が2頭獲れたのは見たことも聞いたことも無いとの事、腕もさることながらツキもここまでくるとなにおかいわんやで呆れるばかりで感心しきり。勢子長曰く、今日は見切り、タツ、犬掛け、全部うまくいった。翌日は天気は下り坂、上野からNさんことY.W氏が加わり何とか今日もと張り切って山へ、日曜日で東京からの仲間も増えタツも大きく張り中タツも立ち猪が起きれば取れる体勢、昨日と同じように犬は2番掛けをすることになり、一番掛けは、折悪しくタツ内にいた鹿についてしまいタツ外、2番掛けは、昨日のヒーローだったビーグルと日本犬見事大物猪(オスの35貫)を越し勢子長が射獲、連日の豊猟に感謝しつつ山をおりました。この隊では、獲れた獲物は自分達で解体肉分けし余すところ無く頂いております。
終わりに先猟期の話ですが我々がよく入る山で会長が今まで何回か見かけた農作業をしていた老婆から今日は猪獲れましたかと尋ねられ、お陰さまで獲れましたとこたえると、老婆はその場にしゃがみ、土下座をし頭を地面に擦り付けて御礼を言われたとのこと、最初は会長もびっくりしたそうですが、当地の甚大な農作物の被害を考えると納得出来ると思われたそうです。自分も地元の方に猪を獲ってくれ、畑が荒されて困る、などの声を掛けられる事がしばしばあります、我々の狩猟が地元の人達のお役に立っている、そう思うと自宅に戻り都会しか知らない家族に山であった話をするにも、自然に力が入ります。
猟期も半ばに入りました。猟友の皆様、お体を大切に、事故をおこさないよう、残る猟期を楽しく過ごせますようお祈り申し上げます。
上野猟友会副会長 K.S